暑がりで寒がりな日本人

日常生活で、様々な便利さに慣れきっている私たち日本人は、急激な温度の変化にも、敏感なようです。イギリス人女性も、私たちと同じように、寒がったり、暑がったりしているのでしょうか。

 日本では四季がとってもはっきりしていますから、冬はマイナスになるほど寒くなり、夏は気温が体温と変わらないほど暑くなることも珍しくありません。そんな国で育ったからには、私はある程度の寒さや暑さには耐えられるはずと自負していましたが、イギリスに住むようになって、自分がどうしようもない弱虫であることに気付かされました。

 イギリスの夏は、空気がカラリとしていて、温度もせいぜい30度程度までしか上がらないため、大変気持ちの良い、爽やかな暑さです。湿度が非常に高く、うだるような暑さになる日本の夏とは比べ物にならない過ごし易さなのですが、これが一旦陽が落ちると、真夏でも息が白くなるほど気温が下がってしまうのです。

 ですから、うっかり昼間の気温だけを考えて外出のときの服装を決めてしまうと、たとえ夏であっても夕方から急に冷え始め、夜にはガタガタ震えるほど寒い思いをするハメになってしまうのです。それに昼間でも、太陽の光は暖かいのに、日陰に入ったり風にあたったりすると、やはり寒いということもありますから、私はいつも「念のために」と、何か羽織るものを必ず持ち歩く癖がついてしまいました。 ところが、イギリス人はそうではありません。

イギリス人は

 ある程度年齢のいった女性はそうでもありませんが、若い人たちは、既に空気がひんやりし始めた町中を、肩・腕・ついでにおなかまで遠慮なく露出したピチピチのタンクトップに、短いスカートとビーチサンダルという薄着で平気な顔をして歩き回ったり、延々と外で立ち話をしたりしていますし、一方男性は、ちょっと夏らしい太陽の光が射してきたかと思うと、おもむろにシャツを脱ぎ捨て、白い肌の上半身を晒して、町を闊歩するのです。

 若い女性がそんな格好で夜遅く歩き回る危険はもちろんなのですが、同じ時に、厚いコートを着てもまだ寒さで震えている私には、そんな彼女たちの無防備な姿が不思議でなりません。 

 また逆に、日本人のお友達と、冬の寒い日にしっかり防寒対策をして外出したら、お店や地下鉄の中に入ってから皆で「暑い、暑い」と、慌てて上着を脱ぐことになった、ということもあるのですが、そんなときにも、やはりイギリス人は厚いコートにフワフワのマフラーをしっかり身につけたまま、平然としてお喋りしていたりするのです。 

 また、南国のように日差しの強いところでは、私はほんの数分間外を歩くだけで暑さに頭がクラクラしてしまうのに、周りのイギリス人やフランス人たちは、ビーチで日陰にならないところにあえて椅子を移動し、サングラスをかけて陽の中に全身を晒したまま、何時間もお昼寝することができるのです。 日射病は大丈夫なの? 熱射病は?と心配になって、そんな人たちをじっくり観察してみるのですが、彼らは時々うつぶせから仰向けになるくらいで、とにかく日焼けを楽しんでいるようにしか見えません。 

 また、イギリスの海辺に遊びに行って、いざ泳ごうとしたら、水があまりにも冷たくて私はとても海の中まで入っていけない、ということもよくあるのですが、爪先を波打ち際につけるだけでおっかなびっくりの私を尻目に、イギリス人は、簡単に心臓パチャパチャをしたと思ったら、思いっきり肩まで水につかり、そのあとは悠然と海水浴を楽しんでいるのです。 そして、泳ぎから帰ってきて一言、「気持ち良かった!」。

 「寒さに強いこと」に関しては、ウワサの域を出ないにしても、「白人は日本人よりも体温が1℃ほど高い」とか、「皮膚が厚い」とかと言われているので、なるほどそれならば、と納得もできるのですが、それでは彼らが暑さにも強いのはなぜなのでしょう。 イギリスに住んでいる日本人の女性同士で集まったときなどよく、「イギリス人は私たちと違って、身体が頑丈に出来ている」と冗談半分で言い合うのですが、もしかしたら、イギリス人の側からすれば、常に暑いの寒いのと言っている私たち日本人は、「外見も内面も、ひ弱過ぎる!」ということになるのかもしれません。

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