婚約の際の双方の反応

異国人同士の二人の間で結婚の意志が固まって、いざそれぞれの家族にその報告をする、となったとき、一体お互いの家族はどんな反応をとるものなのでしょう。 通常の結婚のように、とりあえずお祝い、と簡単には行かないのが、国際結婚のようです。

日本の家族に時間をかけて、段階を踏む

 私たちが結婚を考えているということをそれぞれの家族に伝えるときは、できるだけ皆にショックを与えないよう、じっくり時間をかけ、段階を踏んで物事を運ぶよう心がけました。 というのも、私たちの間には、国籍の違いという壁だけではなく、一回り以上の年齢の差や、夫の離婚歴などといった諸問題があったからです。 

 まず、私の母は、相手が外国人でずっと年上、しかもバツ一の男性と聞いて、「どうしてそんなオジさんと!」と、半泣きになってしまい、それから暫く口をきいてくれませんでした。 今になって考えてみれば、いざ本当に結婚となれば、娘が遠い国に嫁いでいってしまう、という悲しみが母にはあったのでしょうが、当時の私は、どうして母は娘の幸せを喜んでくれないのか、と悩んだものです。

 なにより辛かったのは、彼がそんなときに日本の私のところへ簡単に飛んで来て助けてくれるというわけには行かなかったことです。 私は、彼本人に会えば、母もすぐにわかってくれるだろう、と簡単に構えていましたが、彼は母の気持ちが落ち着いて、「会ってもいい」と思ってくれるまで待ちたい、つまり、私たちのペースで事を進めるのではなく、母の気持ちを大切にしよう、と考えていたのです。

 そのときは(この人、私にそれほど愛情がないのかしら)と訝しんだのですが、しばらく経って、ようやく母と彼が対面したときには、母は「一目見て、『この人なら娘を任せられる』って思ったよ」と言ってくれたので、大変安心致しました。 

 父は私たちが婚約する数年前に他界していましたが、私が小学校高学年の頃、すでにイギリスかぶれになっている様子を見て、冗談めかして「青い目の男と結婚する、なんて言ったら許さんぞ」と言ったことがありました。

 そのときの父の真剣な眼差しを思い出すと、現実に私が青い目の男性と結婚する、という知らせを聞いても、やはり父は手放しで喜んではくれなかったかもしれないと思います。 それでも、父も母と同じように、本人に会ったらきっと許してくれていただろう、と願うしかありません。

イギリス側でも慎重に

 一方、イギリス側でも、報告は慎重に行われました。 彼は家族・親戚と共に家業を営んでいるので、付き合いが深く、家族みんなの理解を得ることが特に重要だったのです。

 彼がお母さま(お父さまは既に他界)とそのご両親、父方の伯父・伯母、また兄弟筋などに、順を追って話をしたのですが、なかでも彼の前妻さんと仲の良かったお母さまと、当時既に80歳近かった、考え方が古く、しかも日本との戦争経験のある伯父に話すときには、大変緊張したようです。 

 現在イギリスはヨーロッパ一離婚率が高い国といわれており、離婚や再婚は決して珍しくないのですが、親族内で離婚、また再婚をしようとするのは彼が初めて、しかも今度の相手はずっと年下の東洋人ということで、家族が一体どう反応するか想像がつかなかったのです。

 それでも、じっくり話しをしていくうちに、離婚も再婚も、よほど考えた上のことだと理解してもらえたようで、私が家族の皆さんに会うときには、比較的暖かく受け入れていただけたと思います。 

 伯父に至っては、婚約パーティーで「お前、でかしたぞ」と彼の肩を叩き、私には「コイツはいい男だ、きっと君を幸せにするよ」と、手を取って優しく語りかけてくれたほどで、私は感激で胸が詰まりました。

 もちろん、皆が皆、諸手を挙げて私たちの結婚を歓迎してくれたとは思いませんが、それでも、時間をかけて受け入れてもらうしかないという覚悟の上での婚約でした。 ( 参考サイト:嫁姑問題を円滑に築くコツや考え方

 でも、もしも、始めに自分達の感情だけを優先し、周りの気持ちを軽んじたことの運び方をしていたら、恐らくもっと違った受け入れられ方をしていたと思います。 この件では、相手が日本人でもイギリス人でも関係なく、思いやりが大切なのだな、ということを身をもって思い知らされました。

広告